【天洋丸】漁網で出来たエコたわし【泡立つ】

佐賀武雄温泉駅の売店をふらっと歩いているときだ。僕は長崎県佐世保市まで帰省し、その帰りにどこかに寄って帰ろうという話になって、武雄温泉に入り、そのまま武雄温泉駅から博多駅まで移動するわけで、特急みどりが来るまで時間があることに気付く。

改札口の売店を併設したおしゃれなカフェが入っていて、30分ほど時間を潰すことにする。売店のお土産コーナーを眺めていたときに、色々な特産品が置かれている中に目が留まったのが、天洋丸のエコたわしだった。

天洋丸のエコたわし

天洋丸はにぼし原料用にカタクチイワシを魚獲するために使用している網が操業中に破れる、裂けるが発生し、漁が無い期間に修理して使っています。

しかし修理して使用しても10年ほどすると寿命を迎え、新しい網と交換する必要が出てきます。古い網の端切れは両氏の間では汚れを落とすためのたわしとして利用されてきた歴史があり、少しの洗剤でも泡立ち、汚れが落ちやすく、網目のため乾きやすく清潔に保つことができる網だったのです。

120度の熱湯で洗浄することができる網で、少量の洗剤で泡立ちが起きる。そして網なので乾きやすいという特性を活かしたエコたわし。

実際広げ見てみると、ただの網を折り曲げただけのもので、至ってシンプルなものとなっている。ただ企業同じようなものを作ろうとする考えてしまうと、生産コストが増大してしまうのでスポンジを安く売るというのが主流になってしまった。

網のたわしというのは漁網を再利用しているから、この価格で提供できるものであり、新しく漁網のようなものを作り、カットして売っていては意味がないのである。

古い漁網をカットすることで網の使い残しがない状態が発生する。網を使って修理をして10年使えば使い物にならないまま捨てるというのがあってはいけない。使える部分があるのであれば、カット出来るを見つけてカットしてエコたわしを作って売ればいいのである。

新しい網を製造するコストやカットする手間などを考えれば、天洋丸のエコたわしは発想の範疇にあってもコスト的に企業が作ることが出来ない代物で、漁師だからこそ出てくる捨てたくても捨てづらいお金がかかっている網を再利用してお金に変えることが出来れば、漁師の生活がどれほど楽になるというのだろうか。

ただの網ではなく、漁師が使う網なので一般人が普通に使った程度では破れるとは到底考えにくいし、理想的な処分方法と言える。

ビジネスとして成功は規模的には難しいかもしれないが、漁師の網処分コストが無くなりながら、エコたわしが作れるのであれば、新しい事業資金を貯めることは出来るのことかもしれない。

環境問題が国際的な課題として、地球に住む僕ら一人ひとりが考えてやれることはなんだろうか。難しく考えず、小さなことをコツコツをするだけで環境保全、自分の節約にもなるのだからWinWinなのではないだろうか。

僕も一人暮らしをしているときは、エコたわしを毎回のように使ってみた。一番良いのは、使ってみて洗いやすいということ。拭くように洗えるので手から滑り落ちて皿を割るという不安定な持ち方をしなくてもいい。網の状態から、室内に干しても乾きやすく、日が当たらない場所でも清潔に使うことが可能という点はメリットだなぁと思いつつ、いつも通り料理が面倒なのでかつやのカツ丼を食べてしまった。

美味しい物には勝てないのである。環境保全や水質汚染がどうこう言っても、かつやのカツ丼や吉野家の牛丼には勝てない。作る手間よりゴミを出す手間の方が小さいからだ。どうしたら僕みたいな一人暮らし、料理という概念を捨てた男が、ごみを減らすことが出来るのか。

収入を増やすことしかない。どんなにエコたわしで汚い心を拭いても汚れてしまったのは落ちないので、余裕が出来るようになれば、野菜を使って料理をしてやろうという話にもなってくる。一人暮らしの方が料理単価は高くなる傾向があて、自炊したから生活が良くなるというわけではない。

生活するだけでの財産を持っているというのが前提にあり、エコたわしを使うだけの最低限料理をする人間が使わないと効果は発揮しない。つまりエコたわしとは、漁網を使って無駄していないからエコであって、洗剤を少量使って洗うからエコではない。

東京・大阪の中心部では下水処理は行われていて、ほぼ垂れ流しは行われていない。長崎県佐世保市でも2023年から下水道の配管整備が行われ始めた。都市部に住んでいる人間がどんなに洗剤の量を気にしたところで水道局が下水処理を常に行ってくれているため、そこまで汚れているわけではない。

逆に、例えば九州でいえば長崎佐世保、島原の方が下水の整備がどれほど進んでいるのか?という疑問は投げかけておく。このエコたわしというのは、エコを疑問視するためたわしでもある。

一人ひとりが小さな環境保全をするために、まず何をするべきなのか。無職なら働け。独身なら結婚しろ。勉強していないなら勉強しろ。不健康なら健康になる努力をしろ、という当たり前のようで出来ていないことをわずか1mm程度の努力で全国民がやれば変化が起きる。

たった一人がエコたわしで擦ったところで何も変化しないかもしれないが、誰かがエコたわしを買ったことで、僕の記事を読むことだってある。この記事を読んでエコたわしを買ってくれるかもしれない。

エコとは繋がりでもあり、当たり前のことなのである。つまり僕は文章を書くことでエコを伝える立場になってしまった。立ち小便すら許されない、エコな男を目指すしかない。

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